2018年9月の読書日記です。
今年の日本は天災の年です。
7月6日の西日本豪雨。
9月4日の台風21号による水害。
さらには9月6日の北海道地震・・・
日本列島は満身創痍。
これでもかと、神様は試練を与えます。
厳しいですね。
幸か不幸か私は東京に住んでおり、今の所自然災害の被害はありません。会社員でありできることは限られていますが、何かできること(募金とか)を見つけて協力していきたいと思います。
目次
『武器になる哲学』の感想
武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50
著者:山口周
発行社:KADOKAWA
世の中の見方(切り口)を教えてくれる本です。とかく生きにくいと感じるこの世の中。世の中の仕組みを知ることにより生き方が楽になります。
哲学の本はつまらなくて眠くなるのが多いのですが、本書は「なぜ哲学書はつまらないのか」という分析を元に書かれています。だからなのか、面白いです。そして、日常生活に役立ちます。まさにタイトル通り、生きていく「武器」になります。
「哲学者○○が○○と言った」なんて話はどうでもいいのです。そんな話は犬も食わない。その知識を日常生活でどのように使えるのか、そこが大事。本書はそんな視点から書かれています。
こういった哲学は、中学・高校で教えるべき内容だと思います。哲学というよりは、もはや一般教養です。
三角関数や微分積分も大事ではあるけれど、それよりももっと、人生にとって必要なことです。世の中のことを知れば、見通しが効くようになります。「あれってこういうことだったのか」と知ることで、気持ちが楽になることも多いです。そういう意味で本書は良い本です。
哲学のこと、なぜ義務教育で教えてくれないのでしょうね。
○✕式のテスト問題が作れないからでしょうかねえ。
パラノとスキゾ
個人的に興味深かった章の一つがこれ、「パラノとスキゾ」です。「パラノとスキゾ」というのは、簡単に言うと性格のタイプのこと、かな。
パラノとは「住むヒト」。家を価値観のセンターに据えて、そこを基地にして仕事のキャリアや子孫を形成していくタイプです。家に家財を溜め込み、仕事もキャリアを一貫性を持って積み上げていく、いわゆる勝ち組?のライフスタイルです。
一方でスキノとは「逃げるヒト」タイプ。家は持たない。家族も(それほど)価値観の中心ではない。明日は明日の風が吹く的な考えで、仕事も変わります。
パラノ型はしっかりしてそうですが、環境変化に弱い傾向があります。地震や台風で家が壊れたら、立ち直るのは大変ですよね。会社が倒産してもそう。一般に日本の会社では「仕事のエキスパート」ではなくて「会社のエキスパート」が出世しますからね。パラノ型の人は市場価値が思ったほど高くない。
スキノ型は環境変化に強いです。普段から、自分の意志で環境を変えてますからね。地震で家が壊れても、持ち家でなければ住み替えるだけです。転職だって特別なことではありません。柳のようなしなやかさがあります。
自分はもろ、スキノ型です。資産はないですけど、何やってでも食べていく自信があります。関東大震災が来ても、露頭に迷わないと思います (^^;
「パラノとスキノ」のことを知るまでは、自分は持ち家もないし、転職歴も多いし、根無し草みたいな存在と引け目を感じることもあったのですが、これはこれで一つの生き方なんだと自信になりました。ほんと「武器になる哲学」です。
『みんなちがって、みんなダメ』の感想
みんなちがって、みんなダメ
著者:中田考
発行社:ベストセラーズ
実に面白かったです。
バカがバカなりに幸せに生きる方法を教えてくれます。
自分にピッタリの指南書で、大変役立ちました。
バカとは何か
本書によりますと、バカとは『自己認識の問題で、自分自身が思っている自分と、実際の自分自身とが違うことに無自覚であること』です。
簡単に言えば、自分自身がわかっていないヤツ、これがバカです。
例えば、ミミズ。
ミミズなのに自分は蛇だと思いこんでるやつはバカです。自分は蛇だと思いこんで、カエルを食べてやろうと出ていくと、逆にカエルに食べられてしまい終わりです。
不幸ですね。
幸せになれないのは、なぜか
今の日本では、「あなたの真の姿はそんなものではない。もっと能力がある。もっと先へ行ける。もっと、もっと」と洗脳されています。ミミズなのに蛇だ蛇だと思い込まされています。
その結果、理想と現実とのギャップに思い悩むわけです。もっといい学校に行けるはず、もっと仕事ができるはず、もっとお金が稼げるはず・・・なぜできないんだ、と悩みます。これが現代の不幸せです。
資本主義社会の世の中では、「あなたはもっとすごい。やればできる」と洗脳しないと経済が回っていかないのです。もうからない。だから「もっとできる、もっとできる」と洗脳し、あれこれ買わせます。
でも自分がミミズだと認識できていれば、ミミズなりに幸せに暮らしていけるのです。
これが本書の主な主張です。
君たちはどう生きるか
では私達はどう生きればいいのでしょうか。
本書の主張は、「周りの人と同じように生きれば、だいたい幸せになれる」です。
え?
と思いますよね。私も思いました。
でもそれ、洗脳されているからです。
周りの人と同じでいいの? 流されてるんじゃないの? って思いますよね。
でもそれでいいのです。
多くの人間はバカだから、あれこれ自分で考えてもバカな考え方しか思いつきません。幸せになる方法なんて、考え出せないのです。それより周囲についていった方がいい。
最近のベストセラーで「君たちはどう生きるか」があります。その中では周りに流されるな、「コペルニクスになれ」と書かれていますね。でもほとんどの人はコペルニクスのように優秀ではありません。そこを目指しても疲弊するだけ。幸せにはなれないのです。
みんなちがって、みんなダメ
本書のタイトル「みんなちがって、みんなダメ」というのは、実にキャッチーなタイトルですね。
その意味は「当然みんな違う。でも、みんなダメ。ダメなのが普通なんだよ」という意味と解釈しています。
ダメだからダメじゃない。
ダメでいい。
ダメなりに幸せになれるんだよ、ということです。
なんか救われました。
楽になりました。
じゃあどう生きるのか
私は、それこそ「もっとできる、もっとできる」と幻を追いかけて生きてきました。
その結果、カラダを壊して一時期鬱でした。
家を出ずニート生活。
最近は立ち直って社会復帰しましたけども。
でももう以前のような働き方はしません。今は仕事は定時で切り上げるようにしています。「彼は残業しない主義なんだな」と周りに思わせるようなキャラづくりをしています。
お金はソコソコあればいい。それよりもストレスのない生活を求めています。
まあ「向上心のないやつ」ということで、クビになるかもしれませんがねえ。そうなったらそうなった時に考えますよ。今の日本で餓死することは、まずありませんから。