読書日記:2021年10月

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そして、バトンは渡された

瀬尾まいこ著「そして、バトンは渡された」を読みました。
口当たりの良いお話です。

主人公の優子は、事情があって親が次々と変わっていきます。
「次々と親が変わるって、どうゆうこと??」と思いますが、まあ世の中にはそういうこともあるんですねえ。世界は広い。
一見不幸な環境にも思いますが、優子はそれほど深刻に感じていません。何というか不幸な環境でも日々淡々と過ごしていく、幸せに過ごしていく、そんなストーリーが綴られています。

特にドラマはありません。
せいぜい「幸せに結婚する」というのがイベントと言えばイベントです。

物語全編に渡って幸せオーラが漂っています。
「自分はなんて不幸せな気がする」と軽く「幸せ不審」を感じている人は、一時的な多幸感を感じられるかもしれません。

先にも書きましたが、口当たりの良い小説です。ハッピーエンドなので読後感も良い。でもそれだけの小説かな~。

気に入ったフレーズ

人間、笑顔は大事です。こんなフレーズがありました。
「うん。女の子は笑ってれば三割増しかわいく見えるし、どんな相手にでも微笑んでいれば好かれる。人に好かれるのは大事なことだよ。楽しいときは思いっきり、しんどいときもそれなりに笑っておかなきゃ」
女性に限らず、男性にも当てはまります。
人に好かれるだけで、人生は若干イージーモードになれます。仕事でミスしても可愛げがあれば「仕方ないなあ、もう」で済んだりしますからね!

おすすめ度:★★☆☆☆

漫画版も出てますネ。

海賊とよばれた男

海賊とよばれた男(上下)読みました。
百田尚樹著です。

もう有名なことと思いますが、石油販売会社「出光」の創業者をモデルとした小説です。
物語の多くは実話なんでしょうけど、どこまで実話なのかは不明です。

主人公・国岡鐡造が経営する国岡商店の成長物語です。
物語の多くは苦労話です。
が、けっこう手に汗握る場面も多いです。
特に自社タンカー日章丸をイランに送るシーンとか、かなりの冒険譚です。船長の新田を含め、船員の男気あふれるかっこよさ。しびれます。

特に下巻(上巻は物語の助走的な位置づけかな)は良い。
石油の業界団体が外資に乗っ取られ、これと与する通産省が国岡商店に嫌がらせをしてきます。石油の利権をめぐる攻防です。結局は国岡商店が幾多の困難を乗り越えて大きく成功します。

しかしその成功の陰には、チートとも言える数々の応援者が居ました。国岡商店の立ち上げ時期に巨額の融資(というか無償援助)をしてくれたお金持ちとか、国岡鐡造を信頼してくれた銀行の大物とか。 まるでテレビドラマか映画か、と言いたくなるような助けがあった。また社員にも数々の優秀な男どもがいて、鐵造を助けます。これらの助けがあったからこそ、国岡商店は成功できたわけです。

つまり国岡商店の成功は運が良かっただけなのか? 

いや、そうではないでしょう。
国岡鐡造の人間性、経営哲学、徳などが多くの人を惹きつけたのでしょう。人間の器(うつわ)とも言うべきか。その器があったからこそ、多くの援助を引き寄せた。

結局何か事を成すには人物の器が必要なんですね。
まあ「器」とは何か、よくワカランのですけどね。
人を感化する、何かでしょうね。

となると、これから世界を良く変えていくには「器」の大きな人物を育てねばならんのですが、そんな教育はこの時代に、この日本でなされているのか?

国の中央官庁に入るのは、受験勉強でいい成績を収めた者ばかり。その中に「器」の大きな人物はおるのか? 試験で器は計れません。もちろん試験による選抜ははある意味「平等」ではあるのですが・・・

最後に感じたのは、現在の各種業界の状況です。
物語では石油業界において、私利私欲を貪る業者が国民の利益を願う業者に嫌がらせをしてたわけですが、現代でも似たようなことはあるんだろうなあ、と思います。力を持った会社が役所を抱き込んで私利私欲を貪っている状況が。世間からは見えないだけでね。

本書を読んで、「出光」に対するイメージが変わりました。
私はいつもエ◯オスで給油してますが、出光に変えようかな。
本小説の内容が本当なら、エ◯オスも業界団体の一員として(結果的に)出光に圧力をかけていた側でしょうからね・・・

おすすめ度:★★★★☆

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