ニュースでは時々聞きなれない言葉が出てきますね。最近森友学園問題でちょくちょく出てくる『忖度』という言葉もその一つです。読み方は『そんたく』です。
「森友学園の土地売買について、学園理事長の問い合わせを安倍首相が忖度したのかどうかが問題である」といった感じで使われています。国会で証人喚問まで行われたほどです。
この使われ方から想像しますと、忖度するのは悪いことだという印象を受けますが、果たしてそうなのでしょうか。
普段はあまり耳にしない『忖度』という言葉、一体どういう意味なのか、調べてみましたので分かりやすくご紹介しますね。使い方の例文などもあげてみました。
忖度(そんたく)の政治的な意味とは?
大辞林を見てみますと、忖度というのは、次のような意味です。
他人の気持ちをおしはかること。推察。 「相手の心中を~する」
出典:コトバンク
つまり忖度とは、ナニガシかの事物を元にして、他人の考えや気持ちを想像することです(ちなみに、忖度の忖(そん)にも度(たく)も、同じく推し量るという意味があります)。
さらに政治の世界における忖度では、他人の考えを想像して、その考えに沿うナニガシかの行動を起こす(便宜を図る)といったニュアンスまでも含まれるように感じます。
これを、現在話題になっている森友学園問題の場合にあてはめてみましょう。業者側から政治家側に土地の売買について問い合わせがあったとします。
これに対して、政治家側が
「ふーん、業者さんは安く買えるように口利きしてくれって思ってるんだな」
と想像して役所に
「安くしてあげて」
などと働きかけたりすると、このことを『忖度した』『忖度があった』と表現するわけです。
そもそも忖度自体には良い悪いの意味はないのですが、こと政治の世界においては、『忖度があった』となると相手の依頼を汲み取って便宜を図った、というグレーなニュアンスが付随するようです。
以上が忖度の意味です。
良い忖度、悪い忖度
先に、「忖度には良い悪いの意味はない」と書いたのですが、大阪の松井府知事がおもしろい発言をなさっています。
なかなか沈静化しない森友問題に関し、松井氏は党大会後の会見でも「油を注いでいるのは皮肉にも安倍首相。忖度はないと強弁しすぎる」と述べた。松井氏は「忖度には、悪い忖度といい忖度がある」と持論を展開。忖度とは「慮る、気を使う」ことだとして「政治家は国民の思いを忖度して政策をすすめていく」ものだとした。
出典:yahoo news
そうなんですよね!
そもそも政治家とは、国民の思いを忖度すべきなのです。「こんな制度があったらいいだろうな、助かる人がいるだろうな」と、大いに忖度すべきなのです。
忖度できないということは、国民に寄り添えてない、とも言えるでしょう。
特定の誰かの思いだけを忖度するから問題となるわけです。政治家の皆さんには、より良い社会を作るために、広く国民の思いを忖度して頂きたいと思います。
忖度の類義語
忖度と似たような言葉に、斟酌(しんしゃく)、勘案(かんあん)などがあります。これらの違いは何でしょうか。
辞書を引けばそれぞれの言葉の意味はわかりますが、ニュアンス的な違いがイマイチだったので、自分なりにまとめてみました。
- 斟酌
- 忖度よりも具体的な情報を元に「相手の気持ちや事情」を推し量り、その気持に寄り添う、尊重する、手加減する、といったニュアンスがあります。
例えば「被告人の気持ちを斟酌して減刑する」「知人の事情を斟酌し、援助を申し出た」という感じに使います。 - 勘案
- いろんな案・意見・事情などを総合的に検討する、といった意味合いです。具体的な計画や施策を検討する際に使われます。例えば「各自治体の諸事情を勘案し、補助金の施策を考える」といった感じです。
いつものことながら、日本語は難しいですネ。
忖度の例文
忖度には、社会的地位の上下関係はありません。相手が誰であっても忖度できます。
例えば、こんな風に使えます。
- 彼女を忖度しているつもりだが、配慮が足りなかったらしい。
- 彼は彼なりに気苦労の多い母を忖度し、気遣っていた。
- 部長の考えを忖度し、部課の目標を決めた。
ただ、普段はあまり使わない言葉なので、ちょっとかしこまった文学的な印象になりますね。
あとがき
最近、政治関連のニュースでよく見聞きするようになった『忖度』について、意味や使い方を紹介しました。
忖度は、相手の気持ちや事情を推し量り、配慮するといった意味合いで使われます。政治の文脈では、さらに「推し量って便宜を図る」といったニュアンスも付随している気がします(ここは個人的な感想です)。
会社の日報などで使ってみると、「お、インテリやな!」と評価が上がるかもしれません。が、効果は保証いたしません (^^;
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