分子機械って何?子供にも分かるように簡単解説!

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2016年のノーベル化学賞は、『分子機械』の研究に授与されました。
受賞されたのは、次のお三方です。

  • J.-P. ソヴァージュ(Jean-Pierre Sauvage)仏ストラスブール大学名誉教授
  • J. F. ストッダート(J. Fraser Stoddart)米ノースウェスタン大学教授
  • B. L. フェリンガ(Bernard L. Feringa)蘭フローニンゲン大学教授

受賞、おめでとうございます!
同分野には著名な日本人研究者もおられますが、惜しくも受賞は逃しました。実に残念でした!!

nobel_medal ノーベル賞

ところでこの『分子機械』って何でしょうか。あまり耳に馴染みのない用語ですよね。

今回は、分子機械について調べてみましたので簡単に紹介します。子供さんに「分子機械って何?」と尋ねられた場合に、ササッと答えてあげてくださいね!

分子機械とは?

分子機械とは、その名の通り、分子レベルの微小な機械のことです。そのサイズはなんと、ナノスケール。10のマイナス9乗の世界です。そして機械の部品は、物質の分子です。分子そのものが部品なのです。

ではまず、ノーベル賞受賞者の彼らがどんな部品を作ったのか、見てみましょう。

カテナン・・・分子の輪っか

一つ目は、『カテナン』と呼ばれるものです。
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分子機械 カテナン
出典:日本科学未来館 科学コミュニケーターブログ

これは分子でできた輪っかが2つ、繋がったものです。
この部品の作り方は1960年代には知られてはいたのですが、やり方が超強引な力技で、収率が非常に低かったそうです。

そこでソヴァージュ教授が『鋳型合成』という方法を考え出し、一気に収率40%になっりました。

さらに鋳型合成を使うと、より複雑な輪っかの結合も可能で、なんとオリンピックの五輪マーク状の構造まで作れてしまうそうです。

ロタキサン・・・分子筋肉

一方でストッダート教授は、ロタキサンという分子部品を作り出しました。
 ↓
分子機械 ロタキサン
出典:日本科学未来館 科学コミュニケーターブログ

これは、ダンベルの握り手の部分に輪っかを取り付けた構造をしています。もちろん輪っかは左右に動かすことができます。

ストッダート教授は、この構造を使って、実際に台座が上下する微小な分子エレベーターを作りました。さらにこの構造を使うとアクチュエータ(分子筋肉)も作れるそうです。

分子モーター

フェリンガ教授が作ったのは、分子モーターです。光を照射するだけで一方向に回転する、光駆動分子モーターなるものを作ったのです。

さらにこのモーターを利用して、ナノレベルの四駆マシンをも作りました。ノーベル財団の次の動画で、13分17秒あたりから、四駆マシンについても説明があります(英語)。
 ↓

さすがにスムーズに走り回るレベルではないようです(^^;

以上、ノーベル化学賞を受けた分子機械について紹介しました。

ところでこれらの機械を使って、何が出来るのでしょうか。今年ノーベル医学・生理学賞を受賞された大隅良典先生は「役に立つのかという視点はよろしくない」という旨を述べておられましたが、やはり気になりますよね。

分子機械の応用は? 実用化は?

現時点において、分子機械を実用化した例はまだありません。
応用・実用化は、まだまだこれからです。

今後期待される応用分野としては、光を使った超高密度分子メモリなどが考えられるそうです。

分子機械のまとめ

2016年のノーベル化学賞を授賞した『分子機械』について、簡単に紹介しました。
分子機械とは、部品に分子そのものを使った、ナノスケール(10のマイナス9乗レベル)の機械です。

今はまだ分子機械には応用例もなく、社会に貢献するようになるまでは、長い時間がかかると思われます。

しかしこのような基礎研究ほど、50年後、100年後に大きく花開くものです。1800年台初頭、ヨーロッパで電気や磁気が研究され始めた時、その後の社会で電気が社会インフラになると見抜いた人はいたでしょうか。

今後の分子機械研究の発展に期待しましょう。

参考:
 ・2016年ノーベル化学賞 現実の世界を分子の世界にも | 科学コミュニケーターブログ
 ・2016年ノーベル化学賞は「分子マシンの設計と合成」に | ケムステ

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