9月になると、マスコミでも受賞者の予想がチラホラと出始めます。ここ数年は、毎年のように日本人の受賞者が予想されてますよね。そして10月上旬に受賞者の発表があり、授賞式はアルフレッド・ノーベルの命日である12月10日の13時(日本時間の11日未明)からです。
2016年は、オートファジーの研究で大隅良典栄誉教授がノーベル生理学・医学賞を受賞されました。おめでとうございました!
12月に開催されるノーベル賞授賞式では、その後に晩餐会が開かれます。
日本人が授賞した年には、その晩餐会にて、なんと日本酒も供されます。こころにくい気配りですね。これぞスウェーデン流の『おもてなし』でしょうか(^^)
今回は、そのノーベル賞授賞式の晩餐会で出される日本酒『福寿 純米吟醸』を紹介します。どんなお酒なのでしょうか。
晩餐会で供される『福寿』とは?
福寿は、兵庫県・灘は神戸酒心館で作られている純米吟醸酒です。
福寿が初めて提供されたのは、2008年。この年には、益川敏英氏、小林誠氏、下村脩氏、南部陽一郎氏の4人が受賞なさいました。
この2008年以降、日本人がノーベル賞を受賞する年には、福寿は晩餐会で供される日本酒の定番となりました。おそらく今年も福寿が振る舞われることでしょう。
福寿の醸造元である神戸酒心館は、2000年代初頭よりスウェーデンに日本酒を輸出しておりました。そのスウェーデンの輸入元がノーベル賞公式行事に関わっていたことがきっかけとなり、福寿が晩餐会に供されることとなったようです。
すごくラッキーなきっかけですね!
でも、単にラッキーなだけではなく、やはり福寿の味・品質が素晴らしかったからこそ、この縁が活かせたのだと思います。職人さんの、匠の技の勝利です。
ノーベル賞 晩餐会の様子
ノーベル賞授賞式の晩餐会では、なんと1,300名もの招待客が参列します。この全ての人に、晩餐会のご馳走が供されます。式典の様子は世界中に公開されますから、全体の料理長は、ものすごい重圧でしょうね。
ちなみに、2015年の晩餐会の様子はこちらです。
王侯貴族の食事会といった雰囲気で、とっても華やかです。
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しかしながら、供される食事は決して過度に華美ではなく、一人あたりの予算は2万円程度だと聞いています。ノーベル財団は堅実経営なのですね(^^)
「晩餐会の途中でトイレに行きたくなったら、どうすればいいですか?」
その答えは、「我慢してください!」だったそうです・・・
せっかく美味しい日本酒が出るのですが、飲み過ぎには注意ですね。
そうそう、この晩餐会で使われるカトラリー一式(スプーン、フォークなど)は、なんと日本の企業が提供しています。
それは、山崎金属工業(新潟県燕市)という会社です。晩餐会で使う全てのカラトリーを無償で提供する代わりに、ノーベル賞晩餐会と同一のカラトリーを独占的に販売できる権利が与えられているそうです。
これもまた、匠の技が評価された証(あかし)ですね。ノーベル賞の名前を決して汚さない会社でないと、こんな権利は与えられないでしょう。
大したものです。
神戸酒心館は社会貢献も
京都大学に、京都大学iPS研究所という研究所があります。ここは2012年にノーベル賞を受賞された山中伸弥氏が所長を務めている研究所です。この研究所ではiPS細胞を使った再生医療を中心に研究がなされています。
神戸酒心館は、『福寿 純米吟醸』の売上の一部を、同iPS研究所に寄付しています。これはすばらしい社会貢献だと思います。
山中先生は以前テレビで、同iPS研究所の研究員の多くが、期限付きの一時雇用の研究員であることに胸を痛めておられました。研究員が経済的に不安定な状況では、安心して研究に取り組むことができません。神戸酒心館の寄付が、このような研究者への支援になればと、心から思います。
ノーベル賞では福寿以外のお酒も
晩餐会の後にはノーベルナイトキャップ(アフターパーティ)というものがありまして、福寿以外にも、そこで供される日本酒があります。
私が知る限りですと、
- 加賀ノ月 (石川県 加越酒造)
- 常きげん キスオブファイア (鹿野酒造 石川県)
- 萬歳楽 加賀梅酒 (小堀酒造店 石川県)
などです。こうしてみると、石川県が多いですね。
最近メディアでよく取り上げられる『獺祭(だっさい)』は、残念ながら、ノーベル賞とは縁がないようです。
まとめ
ノーベル賞の晩餐会で提供される日本酒、『福寿 純米吟醸』を紹介しました。
2008年以降、福寿は、日本人がノーベル賞を受賞するときの定番の日本酒となりました。
今年も日本人の受賞者があったので、多分晩餐会で供されると予想されます。
そうなれば、今年もマスコミで福寿が紹介され、爆発的に売上がのびるでしょう。2008年には注文が殺到して、神戸酒心館のサーバーが落ちてしまったそうです・・・ものすごい人気です。
今年も品薄になることは、間違いありません!
ノーベル賞と日本酒。意外な関係があるんですね。