アルファ碁は、世界で初めてハンディキャップ無しで、人間のプロ囲碁棋士に勝った人工知能です。
その歴史的な対戦は、2016年3月9日~15日にかけて、韓国・ソウルで行われました。試合は全5局行われ、対戦相手はプロ棋士イ・セドル九段。試合の結果はイ・セドル九段の1勝4敗、人間側の完全敗北でした。
しかもアルファ碁が負けた第4局は、アルファ碁が『暴走した』と表現されるほど、アルファ碁がおかしな手を指していました。アルファ碁が全勝してしまうとイ・セドル棋士の立場がなくなるので、わざと負けるようにアルファ碁が調整されたのではないか、という噂もありました。
それほどまでに、アルファ碁は強かった。
そのアルファ碁の、次の対局が決まったようです。
中国人棋士、立ち上がる
アルファ碁がイ・セドル九段に勝った1局目を見て、『アルファ碁はイ・セドルに勝てても私には勝てない』と豪語した棋士がいました。
それが中国人棋士カー・ジエ九段(柯潔、18歳)です。
カー・ジエ九段は、18歳にして囲碁の世界ランキング1位、現在の世界王者です。その世界王者とアルファ碁が対局することが明らかになりました。時期は2016年度末とのこと。
→ 「アルファ碁はイ・セドルに勝てても私には勝てない」とコメントした世界ランクトップのカー・ジエ九段がAlphaGoと対局
カー・ジエ九段は、さらに「イ・セドルは人類を代表して(アルファ碁と)戦う資格はない」とも言い放っています。彼は、「自分ならアルファ碁に勝てるし、戦う資格がある」と言いたかったのでしょう。若者らしいビッグマウスです。(Record China)
この対局もまた、世界が注目する歴史的な試合となりそうです。
アルファ碁は自分で学習して強くなる
次の対局は2016年度末です。
今から半年以上の時間があります。
その間に、アルファ碁はさらにパワーアップします。それは、ハードウェアの向上による計算処理能力のアップだけではありません。
怖いのは、人工知能ならではの自動的な機械学習による性能向上です。
アルファ碁は、イ・セドル棋士との対戦前には、過去の棋譜による学習はもとより、アルファ碁対アルファ碁の対局を3,000万局も重ねて鍛錬を重ねたそうです。
アルファ碁は、自分自身と対局して、良い指し手を自動的に学んでいきます。そこに人が介在する必要はありません。全て自分自身で学んでいきます。
これを3,000万局、こなしたのです。
3,000万局・・・気が遠くなるような対局です。
人間には絶対に不可能な領域。
そんな世界で、人工知能は機械学習を進めています。
この機械学習は、当然現在でも1日24時間、休みなく行われているでしょう。
人工知能に疲れはありません。
すでにアルファ碁は、イ・セドル九段に勝った当時よりも、ずっと強くなっているはずです。
カー・ジエ九段なら勝てる?
カー・ジエ九段は現在の世界ランク1位です。イ・セドル九段よりも強い、人類で一番強いプロ棋士です(ちなみに、イ・セドル九段は世界ランキング4位)。
彼ならアルファ碁に勝てるかもしれません。
カー・ジエ九段は中国人です。ある意味この対局には、中国のメンツがかかっているとも言えます。
となると、もしかして中国側は、アルファ碁にウィルス感染させて乗っ取ってしまう、なんて荒業を考えているかも・・・なんてSFチックな妄想もしてしまいます。
そんな映画があったら面白そうですね。
さあ、アルファ碁 vs カー・ジエ九段の対局は、どちらが勝つでしょうか。
『人工知能 vs 人類』の対決、楽しみです。